可逆的付加開裂連鎖移動(RAFT: Reversible Addition-Fragmentation Chain Transfer)重合は、適応できるモノマーや重合条件が幅広く、また多様な分子設計が可能なことから、最も有用なリビングラジカル重合の一つとみなすことができる。我々は、このRAFT系リビングラジカル重合法を用いた機能性高分子の精密合成に関する研究を推進しています。
現在の高分子材料の応用分野はバイオから電子・光学まで非常に幅広く、多種多様な機能や性能が要求されています。一方、ビニル化合物のラジカル重合は工業的に最も広く用いられており、新たな機能や性能を提供できる新規ビニルモノマー類の開発は熱望されています。近年、我々は電子・光機能性、高分子電解質、高屈折率、金属との高い親和性など多様な機能を付与する事ができる非共役型N-ビニル・S-ビニルモノマー類、イオン性モノマー類、複素芳香環含有モノマー類のRAFT重合を数多く開拓してきました。さらに、これらの手法が新規機能性高分子構造体の精密合成手法として有用であることを明らかにしてきました。これらの基礎的研究の観点に加え、実用化に向けた取り組みも幅広く展開しています。