有機と無機が分子レベルで複合化された3次元構造を有するシルセスキオキサン「(R-SiO1.5)n」微粒子を用いて、ナノサイズでの均一な構造と多機能・多官能といった特性を併せ持つ次世代型有機・無機ハイブリッド材料の創製を目指しています。特に、10 nm 以下での均一な粒径分布を有する微粒子の簡便な合成手法の確立、環境調和型水溶性有機―無機ハイブリッドの開発と応用、有機官能基の分子設計に由来した多様なハイブリッド化などの研究を展開しています。

 これまで、シルセスキオキサン微粒子の前駆体であるトリアルコキシシラン化合物の分子構造を適切に選択し、且つ加水分解・縮合反応を均一系で行うことで約3nmのナノサイズを有する水溶性微粒子が簡便に得られることを見出しています。また、この水溶性シルセスキオキサン微粒子を基盤とした刺激応答性有機・無機ハイブリッド、硫黄含有シルセスキオキサン微粒子やチタニアーシルセスキオキサン型ハイブリッド微粒子を用いた高屈折率材料、フッ素含有シルセスキオキサン微粒子を用いた低屈折率材料、両親媒性シルセスキオキサン微粒子による自立型(self-standing)有機・無機ハイブリッドフィルム、ハードコート材料などを開発してきました。本シルセスキオキサン微粒子の合成手法上の特徴として、有機官能基や無機成分の選択・自由度が高く可溶性のナノ粒子を構築できる点が挙げられます。特に、有機官能基部位を目的に応じて選択し導入することが可能であることから、多種・多様な機能、性能の付与が期待できます。

 近年、シルセスキオキサン微粒子を用いた自己修復型ハードコート材料やイオン伝導性を示す新規ハイブリッド材料なども開発しています。本手法により、従来はトレードオフの関係にあった自己修復能力と材料の硬さや力学物性の同時獲得が可能となり、自己修復機能とナノ材料特有の機能が協奏的に発揮できれば、グリーン・イノベーションや安心・安全な社会の実現に繋がる基盤技術として、その波及効果は極めて大きいと考えています。このような新物性・新機能を有するシルセスキオキサン微粒子を開発すると共に、先端材料としての実用化に向けた技術の体系化を目指した研究・開発を進めています。